プログラムマネージャーとプロジェクトマネージャーの違い: 役割、仕事内容、スキルを比較

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2025年9月29日
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概要

混同されがちなプログラムマネージャーとプロジェクトマネージャー。しかし、その役割や求められるスキル、日々の仕事内容には大きな違いがあります。

本記事では、両者の定義から職務内容の違いまでを整理し、それぞれの役割がチームにどのように貢献するのかを解説します。さらに、実践に役立つ効果的なプログラム管理のヒントや、よくある質問への回答も紹介。自社の組織やプロジェクトに適した役割を理解することで、成果を最大化するための判断材料となるでしょう。

更新: この記事は効果的なプログラム管理のヒントに関する記述を加えて、2025年 9月に更新されました。

あなたのチームには「プログラムマネージャー」と「プロジェクトマネージャー」、どちらが必要でしょうか?

名前は似ていますが、その役割や責任範囲は大きく異なります。違いを理解しないまま役割を割り振ると、リソースの無駄や進行の停滞につながりかねません。この記事を読んで、両者の違いをはっきりさせ、自身のチームにとってどちらが適切なのかを判断しましょう。

【この記事でわかること】

  • プログラムとプロジェクトの違い

  • プログラムマネージャーとプロジェクトマネージャーの違い

  • それぞれに求められる職務内容とスキル

  • チームや組織に合った役割の選び方

  • 効果的なプログラム管理のヒント

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プログラムとは

プログラムとは多岐にわたるプロジェクトの集合体のことを指し、この複数のプロジェクトを管理する立場にある人のことをプログラムマネージャーと呼びます。

プログラムと聞くとプログラミングを連想してしまいがちですが、ここでは主にコンサートやトレーニングのプログラムといった「予定の計画、手順」といった意味を含んでいます。プロジェクトマネージャーは PM と略されるのに対し、それと混同しないようこちらは PgM と表記されます。肩書でいうと部長以上のクラスの人が該当する場合が多いでしょう。

日本ではあまりなじみのないものでしたが、最近では国内でも注目される機会が増えました。それはプログラムマネジメントという考えが日本でも浸透してきたためです。プログラムマネジメントという考えが根付いたのは、国内でも十分にプロジェクトマネジメントの基礎が出来ていたからでしょう。

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多くの企業において複数のプロジェクトを並行に行うことは決して珍しいことではありません。すると今度はプロジェクトが複雑化するといった問題が生じてきます。そこで、社内に展開されたいくつものプロジェクトを束ねる「プログラムマネジメント」という考え方が普及しつつあるのです。

プログラムマネジメントを行ううえで重視されるべき点は、「利益」よりも「価値」です。各プロジェクトはその分野においてコストパフォーマンスの良い利益を追求すべきですが、プログラムマネージャーは一過性の利益ばかりを見るのではなく、それが最終的に社内全体にとって価値のあるものであるかどうかを判断する必要があるのです。各プロジェクトが利益を上げつつ、こうした価値にたどり着けるように調整するのがプログラムマネジメントの仕事と言えます。

プログラムマネージャーとは?

プログラムマネージャーは長期のプログラム戦略と成功の評価指標を扱います。成功を定義することから、コラボレーションを監督することまで、そしてその間にある多くの物事を含め、幅広い業務を担当します。 

現行のシステムへのプログラムの実装を計画している場合は、プログラムマネージャーが重要になります。また、プログラムマネージャーは、プロジェクトマネージャーを監督し、日々のプロジェクトを大きなプログラムにつなげる助けになります。

ここでは、プログラムマネージャーの日常のある一日をご紹介します。 

午前中は、全社の OKR (目標と主要な結果) に基づく年間ベースライン目標の仕上げで費やします。午後は、さまざまな部署のプロジェクトマネージャーとミーティングを行い、各プロジェクトがプログラム目標の達成に向けて順調に進んでいることを確認します。最後に役員とのミーティングを行い、月次のプロジェクト評価指標をリーダーに報告します。時間があれば、来月の予算報告を一足先に行います。

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プロジェクトとは

プロジェクトとは、目的達成のために臨時で構成される組織または業務のことを指します。「プロジェクト」という目的に対して、その過程ややり方、必要なものを整理して管理するというのがプロジェクトマネジメントという考え方です。

プロジェクトマネジメントの概念は冷戦期のアメリカの軍事開発の中で生まれたものです。それが近年ビジネスの場でも応用されるようになり、ここ10年ほどの間で日本にもしっかりその考えは根付いています。

一般的に、プロジェクトにおいては決められた日数やコストで目標を達成させる必要があります。明確なタイムラインや成果物も求められます。プロジェクトマネージャーはプロジェクト達成のために必要な人員を集めてチームを作りますが、無事に目標を達成したら、そのプロジェクトチームは解散となります。プロジェクトチームの仕事はあくまでそのプロジェクトの完遂であり、完成させた成果物の運用などは基本的にはプロジェクトチームの管轄にはならないのが一般的です。プロジェクトマネージャーの仕事はここまでで、その後は別の案件に取り掛かるなり、新しいプロジェクトに携わるなりすることとなります。

プロジェクトマネージャーとは?

プロジェクトマネージャーは日々のプロジェクトとタスクを担当します。プロジェクトマネージャーはチームが仕事を整理し、仕事を順調に進め、また職場でのコミュニケーションを合理化する手助けをします。 

プロジェクトマネージャーは、チームメンバーが明確な方向性を持ち、目標を達成できるようにするために重要な役割を果たします。プログラムマネージャーと協力して、プロジェクトが目標を確実に達成できるようにすることも仕事のうちですが、仕事のほとんどはプロジェクトのタスクに関するものです。 

ここでは、プロジェクトマネージャーの日常のある一日をご紹介します 

1 日は、自分のチームが取り組んでいる 2 つのプロジェクトの進捗状況を確認することから始まります。成果物の提出が遅れているようなので、チームリーダーに連絡してサポートを依頼します。午後は、プログラムマネージャーとチャットし、今後のプロジェクトを確認し、月次目標に向けて順調に進んでいることを確認します。最後に、先週完了したプロジェクトを振り返る事後評価ミーティングを行い、プロジェクト資料をアーカイブします。


こうした複雑な業務を効率的に進めるには、チーム全体を見渡せるツールが欠かせません。Asana なら、プログラムとプロジェクトの両方を一元的に管理でき、日々の進捗もシンプルに把握できます。まずは無料で試して、チームに最適なワークフローを体験してみましょう。

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プログラムとプロジェクトの類似点

これら 2 つには、多くの違いがある一方で、いくつかの類似点もあります。プロジェクトとプログラムの両者には、サイズ、課題、関係、そして不確実性という 4 つのコンポーネントがあります。その違いは、複雑さの程度です。プロジェクトのサイズは小さめとなることが多く、不確実性は高くありません。一方で、プログラムのサイズは大きくなりがちで、部署間の複雑な関係が多くあり、不確実性が高くなります。

プログラムマネージャーとプロジェクトマネージャーの違い

プログラムとプロジェクトという単語の意味合いをしっかり把握できれば、この二つの立場は全く異なる役割だということが分かります。それではこの両者について、それぞれどういった役割や知見などが求められるのか具体的に見ていきましょう。違いを知ることで、チーム内でのそれぞれの仕事の役割と自身の役割の改善方法を学ぶことができます。 

プログラムマネージャーが複数の異なるプロジェクトからなる長期のプログラム戦略を率いるのに対し、プロジェクトマネージャーが率いるのは個別のプロジェクトです。以下に、プログラムマネージャーとプロジェクトマネージャーのその他の違いをいくつか紹介します。 

役割の違い

前述したように、プログラムマネージャーは社内に展開されている複数のプロジェクトを把握し統括する立場の人のことです。展開された各プロジェクトがきちんと機能するように人員の配備や予算の検討を行ったり、社内全体の状況を考慮してプロジェクト間の調整を行ったりします。

一方、プロジェクトマネージャーの役割は請け負ったプロジェクトを完遂に導くことです。展開しているプロジェクト全体を長期的かつ統括的な目線で管理するプログラムマネージャーとは異なり、期間や規模があらかじめ定められたプロジェクトを目標通り完遂させるのがプロジェクトマネージャーの役割となります。プロジェクトそのものがきちんと機能するように、人員や予算、スケジュールといった面を含めて管理を行い、さらにその進捗をプログラムマネージャーに適宜報告する必要もあります。

項目

プログラムマネージャー (PgM)

プロジェクトマネージャー (PM)

管理対象

複数のプロジェクト全体

個別のプロジェクト

目的

プロジェクト間の調整と統括

プロジェクトの目標達成

主な業務

人員配備、予算検討、全社調整

人員や予算、スケジュール管理、進捗報告

視点

長期、統括的

短期、プロジェクト単位

必要な知識の違い

企業や案件によって必要な知識は当然異なってきますが、プログラムマネージャーに関してはその立場上、プロジェクトの内容だけでなく、投資やその効果の分析といった、より経営側に寄った知識が必要になってくるでしょう。そのため、プロジェクトマネージャーと比較すると、目の前の利益を見るだけでなく、より長期的な目線で社内の価値向上を目指していかなくてはなりません。

ここでいう価値とはいわゆるベネフィットと呼ばれるもので、社会的な評価や恩恵といったものを指します。これに対して、即物的だったり金銭的だったりする利益をプロフィットと呼びます。プログラムマネージャーは、プロジェクトがどれだけの利益を出したかだけでなく、それがいかにビジネスに生かされるか、今後の経営に役立つかということまで考える必要があるのです。そのため、この直接金銭に結びつかないベネフィットにも目を向けなければなりません。

プロジェクトマネージャーに関しては、そうした知見があるに越したことはありませんが、それよりはプロジェクトの実作業に関する知識の方が求められます。また、プログラムマネージャーのように長期的な視点を持つというよりは、そのプロジェクトが稼働している短期間の間にどれだけ利益を追求できるかという点に着目できるかが肝心です。

また、両者に求められる知識は各プロジェクトに必要な資金繰りの面に関しても大きく異なります。提示された予算をベースとしてコストの管理を進めていくプロジェクトマネジメントとは異なり、プログラムマネージャーは多岐にわたる各プロジェクトがそれぞれ必要となる資金を見通し、途中で破綻しないように残資金には特に目を配っておかなければなりません。こうした資金繰りの面でもマネジメントしていかなくてはならないため、プログラムマネージャーにはファイナンスの知識も必須と言えるでしょう。

項目

プログラムマネージャー (PgM)

プロジェクトマネージャー (PM)

主な知識

プロジェクト内容 + 投資効果分析、経営視点、ファイナンス

プロジェクト実務知識、コスト管理

視点

長期的、社内全体の価値向上を重視

短期的、プロジェクト単位で利益を最大化

重点

ベネフィット (社会的価値、将来的な経営貢献)

プロフィット (即物的および金銭的利益)

資金管理

複数プロジェクトの資金を見通し、破綻しないよう調整

提示された予算内でコスト管理

求められるスキルの違い

場面によって求められるスキルは一概にこれだと決められませんが、いずれもマネジメントする立場なので、人員面での把握や配備、コストパフォーマンスについての検討、進捗の確認などといったスキルは共通して必要です。

ただ、プログラムマネージャーはその立場上、プロジェクトマネージャーよりさらに多くの人と関係していくことが考えられます。配下として働く各プロジェクトのマネージャーやメンバーをはじめ、経営層や関連部署、さらに取引先や顧客といった社外の人たちと接することも少なくはありません。このような、プログラムに関わる利害関係者のことをステークホルダーと呼びますが、プロジェクトマネージャーは実務以外にもこうしたステークホルダーの管理も重要になるのです。社内外問わずあらゆる人と接する機会が多いので、高いコミュニケーション能力、さらには多岐にわたる関係者の間に立つ調整力も求められると言えます。こうしたスキルはプロジェクトマネージャーにも求められるものですが、その規模はプログラムマネージャーほどではないでしょう。

また、プログラムマネージャーは前述しているように、経営ビジョンの明確化やリスク要因の洗い出し、対応策の検討など、経営戦略に携わる思考を持つことが何よりも大切です。このように、プロジェクトマネージャーと比較するとかなり多角的な能力が求められるポジションということが分かります。

項目

プログラムマネージャー (PgM)

プロジェクトマネージャー (PM)

マネジメントスキル

複数プロジェクトやステークホルダーの調整、高度なコミュニケーション

プロジェクトチーム内の管理、進捗確認、コミュニケーション

ステークホルダー対応

経営層、関連部署、取引先や顧客など社内外の利害関係者

主に社内チームメンバーや関係部署

戦略的思考

経営ビジョンの明確化、リスク管理、長期戦略への関与

プロジェクトの目標達成に向けた短期戦略

必要な能力

多角的思考、調整力、長期視点

実務遂行能力、進捗管理能力、短期視点

記事: ワークマネジメントとプロジェクトマネジメントの違いとは?

プログラムマネージャーの職務とは?

プログラムマネージャーはとてもやりがいのある役割です。大局的なイニシアチブを含めてプログラムマネージャーは多くの責任があります。プログラムマネージャーは、長期にわたる複雑なプロジェクトを担当し、会社の大きな目標に沿って、プロジェクトチームや必要な予算の調整を行います。

プログラムマネージャーの役割と責任

プログラムマネージャーとプロジェクトマネージャーの職務の違いは、結局は、誰が日々のタスクを担当するのか、誰がプロジェクト計画を包括的に担当するのかということです。とはいえ、コラボレーションは両者に共通しています。それでは、プログラムマネージャーの主要な役割と責任についていくつか詳細に見てみましょう。 

プログラムマネージャーの役割と責任

プログラムマネージャーとプロジェクトマネージャーの役割は異なりますが、プロジェクトの監督やコミュニケーションの調整など、いくつかの責任を共有しています。プログラムマネージャーの役割と責任は会社により異なりますが、プロジェクト戦略、品質管理、業績報告チェンジマネジメント、およびリスク管理計画などの共通業務があります。 

優れた候補者とは、これらをすべて備えているだけでなく、複数のチームを調整できる優れたリーダーです。ここでは、プログラムマネージャーのその他の役割と責任をいくつかご紹介します。

戦略の実行

プログラムマネージャーは、全社の目標達成につながる目標を持つ小さなプロジェクトの調整を担当します。つまり、プロジェクトマネージャーと協力して、日々のプロジェクトの目標を確実に達成し、大局的なプログラムが順調に進んでいることを確認します。

また、プログラムマネージャーは、社内のプロセスを合理化し、一連のプロジェクトのベストプラクティスを定義します。これにより、プロジェクトマネージャーは、プロジェクトを管理する際に明確な方向性を持つことができます。また、コミュニケーション不足や仕事に費やされる時間の不足によるエラーを防ぐことができます。 

他の戦略的な業務として、成果物の整合性を確認するためプロジェクトマネージャーと一緒にプロジェクトを調整することもあります。 

共同作業の監督

プロジェクトマネージャーは、単発のプロジェクトにコラボレーションを導入することに注力する傾向がありますが、プログラムマネージャーは、部門の垣根を超えてコラボレーションが行わるようにします。難しい仕事ですが、最もやりがいのある仕事の一つです。 

また、プログラムマネージャーは、会社の経営にかかわる目標に対するプログラムロードマップの作成に注力する傾向があります。これは、個々のプロジェクトロードマップを作成するプロジェクトマネージャーとは少し異なります。 

プログラムマネージャーは、プログラム管理ソフトウェアやチームビルディングゲームなど、コミュニケーションを合理化する新しいツールを導入することでコラボレーションを管理できます。これらの方法はそれぞれ異なりますが、チームワークを促進し、可視性を高めることを目的としています。

記事: モチベーションを高め、コラボレーションを促すチームワークの名言集 100 選

成功指標の定義

プロジェクトマネージャーとプログラムマネージャーはともに ROI を分析して報告する必要がありますが、プログラムマネージャーは、全社の ROI を経営目標と整合させることに責任があります。 

すなわち、単発のプロジェクトが当初の目標を達成していることを確認するために、プロジェクトマネージャーとのミーティングを行います。プログラムマネージャーは、ROI の評価指標を会社の役員に報告したり、プログラム全体の業績を報告したりする連絡窓口になることもあります。

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スキルと経験

プログラムマネージャーは、バランスのよいスキルセットとプロジェクトマネジメントとワークフローマネジメントの両方の経験を持つ必要があります。プログラムマネジメントを正式に学び、資格を取得する専門家もいますが、それは必ずしも必要ではありません。

プログラムマネージャーをチームに加えようと計画している場合、これらが求めるスキルであると心に留めておきましょう。

プログラム管理スキル

優秀なプログラムマネージャーに特に必要なスキルには、組織、計画、スケジューリング、プログラム戦略、レポート、提案書の作成、予算計画があります。これは最終的には、あなたの組織が求めている職務と、既存のチームメンバーとどのように協力するかにより変わります。 

プログラムマネージャーに必要なのは、特定のスキルだけでなく、プログラムマネジメントの役割でのヒューマンスキルも重要です。これは、コラボレーションを調整し、チームメイトにベストを尽くそうとする意欲を湧きたてるのに役立ちます。 

プログラム管理の経験

優秀なプログラムマネージャーは、プロジェクト管理の経験や、プロジェクトの管理と運営に重点を置いた他の役割の経験を持っています。 

必要な経験年数はさまざまですが、平均的なプログラムマネージャーには約 5 年の経験があります。これは、特定の仕事の複雑さに応じて、より少ない経験しか必要としないプロジェクトマネージャー管理とは異なります。 

一般的な課題

タイムラインの遅れや予算の問題も含めて、プログラムマネージャーはチーム内の他の役割と同様に障害を乗り越える必要があります。実際、プログラムマネージャーは、上からの期待と下からの期待の両方を管理しなければならないというユニークな立場にあります。  

ここでは、プログラムマネージャーがしばしば直面する課題をご紹介します。 

  • 目標の不一致やコミュニケーション不足といった部門横断的な課題は、長期的な目標に悪影響を及ぼします。   

  • 直属の部下がいないプログラムマネージャーは、権限や影響力に関する問題に直面します。 

  • プログラムのタイムラインが長い場合、年間目標を達成するために短期のプロジェクトを順調に進めることが難しくなります。

記事: プログラムマネジメントの完全ガイド

プロジェクトマネージャーの職務とは?

プロジェクトマネージャーの日々のタスクは、プログラムマネージャーとは異なりますが、プログラムマネージャーと同様にやりがいのある仕事です。プロジェクトマネージャーの主な仕事は、プログラムマネージャーの戦略を、設定された目標を満たす個々のプロジェクトに変換することです。これには、作業の組織化、計画、追跡、実行などがあります。

プロジェクトマネージャーの役割と責任

プロジェクトマネージャーは、しばしば、プログラムマネージャーと一緒に仕事をしたり、報告したりします。これは、プロジェクトマネージャーの仕事の多くが、プログラムの戦略に基づいているからです。その他にも、プロジェクトタスクの割り当て、プロジェクトの管理、タイムラインの作成、進捗管理など、プロジェクトやチームが会社の目標を達成するために必要な業務を行います。

プロジェクトマネージャーの役割と責任

プロジェクトマネージャーの主な役割は、チームを管理し、コミュニケーションを調整することです。これにより、期限やプログラムレベルの目標を順調に進めます。その他の役割や責任としては、タスクを割り当てたり、期限が守られているかどうかプロジェクトの進捗状況を確認したりします。 

ここでは、プログラムマネージャーとプロジェクトマネージャーの違いを比較する際に考慮すべき、その他の責任についてご紹介します。

仕事の調整

プロジェクトマネージャーは、プロジェクトのタスクを適切な関係者に割り当て、仕事の完了に必要なすべての情報を確保する責任があります。これは、情報の検索に無駄な時間を使うことを避けるうえで特に重要です。また、多くのチームがバーチャルで仕事をしており、その時間の 60% が実際の仕事ではなく、仕事の調整に費やされていることを考慮すると、最も困難な仕事の一つです。 

チームメンバー間の調整は難しいタスクですが、正しく行えば生産性やチームの効率を向上できます。これにより、チームは目の前の成果物に集中できます。

記事: 生産性向上のためにできること: 職場で実施できる取り組みとヒントを紹介

プロジェクトの運営

プロジェクトマネージャーは、プロジェクトを運営する責任も担っています。チームメンバーとのつながりだけでなく、プロジェクトの情報や関係者の成果物の管理も求められます。

簡単そうに見えますが、プロジェクトを効果的に運営するためには多くのことが必要です。主要な職務としては、チームメンバーに正確な情報を提供し、成果物を前に進め、プロジェクトのライフサイクルを通してチームミーティングをリードすることがあります。 

進捗情報の把握

プロジェクトの進捗状況を追跡することも、プロジェクトマネージャーの重要なタスクです。それには、成果物をタスクのタイムラインに合わせ、プロジェクトの締め切りに間に合うようにすることが求められます。 

進捗マッピングでは、プロジェクトの可視性を高め、コラボレーションを向上させるために、チームメンバーに進捗状況を伝えるというタスクも必要です。これは、特にバーチャルで作業する場合には少し注意が必要で、忍耐力と問題解決能力の両方が求められます。

スキルと経験

5 年前後の経験を必要とするプログラムマネージャーとは異なり、プロジェクトマネージャーは必ずしも同じ年数の経験を必要としません。主な基準には、組織力、コミュニケーション能力、業務調整の経験があります。 

これらのプロジェクト管理スキルをご覧になり、必要とされる経験をご理解ください。

プロジェクト管理スキル

プロジェクト管理スキルは、プログラム管理スキルと似ていますが、いくつかの大きな違いがあります。整理、計画、スケジュール管理のようなスキルは、どちらの役割にも不可欠です。この 2 つの違いは、プロジェクトマネージャーはタイトな締め切りで仕事をし、目まぐるしく変化する環境で仕事ができる必要があるのに対し、プログラムマネージャーはそのような具体的なタイムラインでは仕事をしません。そのため、ペースの早い仕事を好む人がプロジェクト管理に適任です。 

プログラムマネージャーの役割と同様に、新しい手法やツールを学び続けることが重要です。プロジェクトマネジメント協会 (PMI) のような組織が、自分のスキルレベルを高め、新しい手法を学んでチームに持ち帰るためのツールを提供しています。 

プロジェクト管理の経験

プロジェクトマネージャーになるのに必要とされる経験は、役割の複雑さによって異なります。ほとんどの役割では、2 年程度の経験が必要とされますが、ほとんど経験を必要としない役割もあります。 

プログラムマネージャーと同様に、必要とされる経験は、組織が求めるものによって異なります。プロジェクトの計画を立てる手助けを必要としている小さなチームには、経験が少ないプロジェクトマネージャーが適しているかもしれませんし、大きなチームであれば、複雑なプロジェクトの成果物を扱うため、より経験豊富なプロジェクトマネージャーが適しているかもしれません。

一般的な課題

戦略的な課題に直面しているプログラムマネージャーとは異なり、プロジェクトマネージャーが直面するのは、コミュニケーションや生産性の問題などの日常的な障害です。 

ここでは、プロジェクトマネージャーが日常的に直面する課題のうち大きなものをご紹介します。 

  • 関係者間のコミュニケーションが不足していると、成果物が見落とされたり、最悪の場合、間違って行われたりする場合があります。

  • スコープクリープは、プロジェクトが予定されていたタイムラインを超える場合には問題となります。これは、調整が不足していたり、適切なツールが導入されていない場合に生じます。 

  • 成功指標がないことは、目標や機会を追跡する際の課題となります。

記事: プロジェクト管理のメリットとは?

あなたのチームに合う役割とは

プロジェクトを遂行し、チームのワークロードやコミュニケーションを管理するためには、プロジェクトマネージャーは不可欠ですが、プロジェクト戦略を成功させるためには、プログラムマネージャーも不可欠です。それでは、どちらの役割が自分のチームに適しているかを判断する方法を見てみましょう。

プログラムマネージャーとプロジェクトマネージャーのどちらの役割がチームに適しているか?

仕事のどのエリアに改善が必要かを考え、プロジェクトマネージャーとプログラムマネージャーのどちらが仕事に適しているかを検討します。また、現在の役割が正しく活用されているかどうかを評価することも役に立ちます。多くの場合、プロジェクトマネージャーがプログラムマネージャーの責任を担うことがあります。しかしこれでは、燃え尽き症候群になったり、個々のプロジェクトでのミスが増えたりする可能性があります。また、全社の OKR を見て、どの役割が長期目標に最も近いかを把握することもできます。

ここでは、チームが直面する可能性のあるシナリオの例と、それぞれを解決するためにどのような役割を果たすべきかを判断する方法をご紹介します。 

シナリオ 1: チームは、期限は間に合っているものの、パフォーマンスの測定や会社の目標達成に苦労していませんか?

  • 解決策: プログラムマネージャーは、業績評価指標を設定し、小さなプロジェクトの目標の達成が全社的な目標の達成につながるよう、戦略的に計画できます。 

シナリオ 2: チームは、期限に間に合わせるのに苦労し、抱えているタスクに圧倒されていませんか?

  • 解決策: プロジェクトマネージャーは、期限やチームのワークロードを管理し、期日が守られ、コミュニケーションが明確になるようにします。 

シナリオ 3: 組織は、大きな成長を目指していても、成果物の完成とパフォーマンス測定の両方に苦労していませんか? 

  • 解決策: チームにプログラムマネージャーとプロジェクトマネージャーの両者を加えることが有益な場合があります。プログラムマネージャーは、長期的な目標を戦略的に立て、プロジェクトがその目標を達成できるようにサポートします。また、プロジェクトマネージャーは、タイムライン、成果物、チームのコミュニケーションの日々の管理を手助けします。

効果的なプログラム管理のヒント

プログラムマネジメントは複数のプロジェクトを統括する高度な業務であり、効率的かつ効果的に進めるためにはいくつかのポイントがあります。ここでは、実務ですぐに活用できる 6 つのヒントを紹介します。

1. 依存関係を明確にする

プログラム内の各プロジェクトの依存関係を整理することで、遅延やリスクを最小化できます。どのプロジェクトが他のプロジェクトの成果物に影響するかを把握し、優先順位をつけて管理しましょう。依存関係が複雑な場合は、可視化ツールを使ってプロジェクト間の関係を一目で理解できるようにし、関係者全員で共有することで、問題発生時の対応を迅速化できます。また、重要なタスクやマイルストーンが遅れそうな場合、早期に調整やリソース配分の見直しを行うことが可能です。

2. 優先順位を定める

プログラムの目標に直結する重要なプロジェクトを特定し、リソースや予算を優先的に配分します。全てのタスクを同じレベルで扱うのではなく、影響度や価値に基づき意思決定を行うことが大切です。優先順位の設定はプログラム全体の成功に直結し、重要な成果物やマイルストーンを確実に達成するための指針となります。定期的に状況を見直し、必要に応じて優先順位を更新することで、変化する状況やリスクに柔軟に対応できます。

3. ガントチャートやダッシュボードで可視化する

PMBOK で推奨される手法やツールを活用し、各プロジェクトのマイルストーンや進捗状況をリアルタイムで確認しましょう。ガントチャートを用いることでスケジュールの全体像が把握でき、各タスクの依存関係やリソース配分を調整できます。さらにダッシュボードを活用すると、ステークホルダーや経営層への情報共有が容易になり、プログラムの意思決定を迅速化するだけでなく、チーム全体の透明性と協力体制の強化にもつながります。

記事: ガントチャートとは?WBSとの違いなどの基本情報を解説

4. 関連するプロジェクト間の調整を行う

複数のプロジェクトやサプライチェーンが絡む場合、プロジェクト間の調整は不可欠です。早期に課題やリスクを発見し、計画を柔軟に修正することで、プログラム全体の成果を最大化できます。各プロジェクトの優先度や進捗状況を把握し、必要に応じてリソースやスケジュールを調整することが重要です。また、関連部門や外部パートナーとのコミュニケーションを密にして、問題の早期解決を促すことも成功の鍵となります。

記事: S&OP (販売操業計画): プロジェクトマネージャー向けガイド

5. 定期的なレビューと意思決定の迅速化

プログラムの成功には、定期的なレビューと迅速な意思決定が重要です。マイルストーンごとに進捗を確認し、遅延やリスクが発生していないか評価します。リアルタイムで情報を共有することで、問題への対応が遅れることを防ぎ、プログラムの目標達成に直結します。レビューではチームの成果を可視化し、必要に応じて意思決定を即座に行うことで、プロジェクトの成功確率を高めることができます。

6. キャリアパスを意識したチーム運営

プログラムマネジメントはチームメンバーの成長機会とも密接に関わります。各メンバーのスキルや強みを把握し、キャリアパスを意識してタスクを割り当てることで、モチベーションの向上や人材定着につながります。さらに、チームメンバーの能力を最大限に活かすことで、プロジェクトの成功だけでなく、プログラム全体の成果にも寄与します。適切な指導やフィードバックを組み込むことも重要です。


プログラムマネジメントを成功させるには、ヒントを理解するだけでなく、実際に使えるツールを導入することが欠かせません。Asana なら、依存関係やマイルストーンの管理、ガントチャートやダッシュボードを活用したリアルタイムの進捗可視化まで、すべてを一元管理できます。

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まとめ: プロジェクトマネージャーからプログラムマネージャーへ

プログラムマネージャーとプロジェクトマネージャーは、名前こそ似ていますが、その役割は大きく異なります。プログラムとは複数のプロジェクトを統括して管理するものだという点について把握できれば、その両者の立場や必要なスキルの違いも見えてくるでしょう。

プロジェクトマネージャーとプログラムマネージャーは両者とも、優秀チームには欠かせない存在です。両者とも何らかの形でプロジェクトを管理していますが、それぞれが異なる視点で日々の業務に取り組んでいます。結局のところ、私たちは皆、仕事や戦略を管理する上で、もう少し助けを必要としているのです。

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