リミッティングビリーフとは?10 の例と原因、克服方法を解説

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2025年8月20日
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概要

リミッティングビリーフとは、私たちの可能性や行動を無意識に制限してしまう思考や信念を指します。誰もが経験するものですが、その存在に気づき、正しく対処することで、挑戦する意欲や成長のチャンスを守ることができます。

この記事では、リミッティングビリーフの定義や心理学的な背景、具体的な原因と例、そして仕事やチームワークに与える影響を整理して解説します。さらに、克服するための実践的な方法や、実際に改善に成功した事例も紹介。自分自身や職場でのリミッティングビリーフに気づき、前向きな変化を起こすためのヒントをご覧ください。

更新: この記事は、リミッティングビリーフを克服した事例に関する記述を含め、2025年 8月に更新されました。

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「挑戦したいのに、なぜか一歩踏み出せない」「人間関係でいつも同じ失敗を繰り返してしまう」そんな経験はありませんか?その背景には、自分でも気づかないうちに働いている リミッティングビリーフ (limiting belief)、いわば “心のブレーキ” が潜んでいることがあります。

この心のブレーキは、努力不足や才能の欠如ではなく、幼少期の経験や社会からの刷り込みなどによって形づくられた思い込みに過ぎません。しかし、その影響は想像以上に大きく、キャリアの選択から日常の人間関係、さらには「自分の人生」の歩み方にまで影を落とします。対人恐怖症や生きづらさの原因になる可能性もあります。

もしその存在に気づき、克服する方法を知ることができれば、これまで自分を縛っていた制限から解放され、 ありのままの自分 を発揮できるようになるでしょう。この記事では、その第一歩となるヒントをお伝えします。

リミッティングビリーフとは?

リミッティングビリーフとは、私たちの行動や選択を無意識に制限してしまう固定観念のことです。多くの場合、それは根拠のない自己批判や思い込みに基づいており、“心のブレーキ” のようにポテンシャルを押さえ込んでしまいます。

たとえば「自分は心に響く話を伝えるのが苦手だ」と思い込んでいると、チームで知識を共有する機会を避けたり、人前で発表する際に過度に不安を感じたりします。これは、自分の能力を過小評価する先入観によって行動が縛られている典型例です。

さらにリミッティングビリーフは、新しい経験への意欲を奪い、メンタルヘルスに悪影響を与えることもあります。したがって、自分自身の信念を客観的に見つめ直し、無意識の偏見を認識することが重要です。他者に対する偏見にとらわれると、協力して働く力を損ない、最終的には仕事や人間関係の質にも悪影響を及ぼしてしまうのです。


このような課題を克服するには、個人の思考習慣を見直すことと同時に、チームとしての協力体制を整えることが欠かせません。ここで役立つのが、仕事の進捗や役割を明確にし、信頼できる環境をつくる Asana のようなワークマネジメントツールです。タスクや責任を「見える化」することで、不安や誤解を減らし、リミッティングビリーフに左右されにくい健全な働き方をサポートします。

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リミッティングビリーフの原因

リミッティングビリーフは、個人の経験や周囲の環境によって形成されることが多くあります。特に子どもの頃の過干渉や過度な期待は、インナーチャイルド (幼少期の心の傷や経験に由来する無意識の感情) に影響を与え、「自分にはできない」「挑戦は危険」といった信念を無意識に植え付けることがあります。また、心理的トラウマや失敗経験も、自己評価を低下させ、インポスター症候群を助長する原因となります。

これらの経験は、私たちの思考や行動パターンに長期的な影響を与え、心のブレーキとして働きます。その結果、新しい挑戦や学びに対する意欲が抑制され、人生の選択肢が狭まってしまうこともあります。

リミッティングビリーフの原因を理解することは、日常生活や職場で自己制限的な思考に気づき、適切に対処するための第一歩です。具体的な経験に目を向けることで、自己認識を深め、ポジティブな思考の形成につなげることができます。

リミッティングビリーフと関連する心理学理論

リミッティングビリーフは、心理学的にいくつかの理論で説明できます。まず、自己不一致理論によれば、「理想の自分」と「現実の自分」に大きな差があると、人は不安や無力感を感じやすくなります。このギャップが「自分にはできない」という固定観念を強め、行動を制限してしまうのです。

次に、学習性無力感の研究では、失敗経験が繰り返されると「努力しても無駄だ」という信念が形成されるとされています。これは典型的なリミッティングビリーフの一種であり、挑戦意欲や自信を奪う要因となります。

また、認知行動療法 (CBT) の枠組みでは、私たちの思考パターンが感情や行動に直結することが示されています。ネガティブな自己評価は「自分には価値がない」「成功できない」といった歪んだ信念をつくり出し、それが心のブレーキとなって日常生活や人間関係に影響します。

さらに、潜在意識やインナーチャイルドの概念からは、子どもの頃の経験や心理的トラウマが無意識の信念として残り、成人後も「ありのままの自分」を否定する思考習慣につながると説明されます。近年は脳科学の研究でも、過去の経験が神経回路に定着し、自動的な思考として働くことが明らかになってきました。

このように、リミッティングビリーフは単なる思い込みではなく、心理学や脳科学に裏づけられた仕組みによって形成、維持されるものなのです。

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リミッティングビリーフがチームの成功に影響を与える理由

職場でリミッティングビリーフによるネガティブな思考が生じると、創造性とチームの士気が後退します。たとえば、新しいプロセスに取り組んでいるのに、「より優れた解決策を提示できる自分には無理だ」と思い込んでしまう状態を想像してください。このような状態では、斬新なアイデアや解決策を生み出すことは難しくなります。

チームを統括する立場であれば、メンバーがそれぞれのリミッティングビリーフに打ち勝てるようサポートし、リミッティングビリーフの外し方を実践することで、個々の創造力ややる気を引き出すことが可能です。反対にネガティブな思考にとらわれたままでは、固定観念から抜け出せず、新たな斬新なアイデアは生まれません。過去のアイデアを繰り返すだけでは、チームの成功は期待できないのです。 

真の成長は大胆なアプローチから生まれます。各メンバーが自分の力を信じ、一歩でも前に進むことが求められます。だからこそ、職場ではポジティブシンキングを促し、チームのベストを引き出すことが重要です。


リミッティングビリーフを克服し、チームの創造力と士気を最大化するには、日々のタスク管理やプロジェクトの進行を効率的にサポートできるツールを活用するのも有効です。Asanaなら、個人のタスクからチーム全体の進行状況まで一目で把握でき、各メンバーが自分の役割に自信を持って行動できる環境をつくれます。今すぐ Asana に登録して、チームの力を最大限に引き出す一歩を踏み出しましょう。

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リミッティングビリーフの 10 の一般的な例

リミッティングビリーフは自虐的な考えそのものであり、人としての成長を止めてしまいます。言葉や体の反応、防衛機制 (無意識に不安を軽減する心理メカニズム) など、一般的なリミッティングビリーフを把握しておくことで、実際に発生したときにそれに気づきやすくなります。

ここでは、職場や自分磨きの場面で認識し、修正すべき 10 の典型的なリミッティングビリーフの例を紹介します。

  • 力不足だ: 「このプロジェクトを管理する能力が私にはありません。」

  • 歳をとりすぎている、または若すぎる: 「マネージャーになるには私は若すぎます。」

  • 時間がない: 「自分に投資する時間がありません。」

  • 器用ではない: 「このミーティングを仕切れるほど私は器用ではありません。」

  • 経験不足だ: 「これほど大きなキャリアの転換をできるほどの経験が私にはありません。」

  • 私は決して成功できない: 「この業界では絶対に成功できません。」

  • お金がない: 「お金がなくて人生を楽しめません。」

  • 私は絶対に一番にはなれない: 「私はチームで一番になれません。」

  • 能力が足りない: 「能力不足で昇進できません。」

  • 私は優れたリーダーにはなれない: 「私は自信がなく、優れたリーダーにはなれそうもありません。」

上記の類の考えは恐怖心に起因しており、誰もが持っています。リミッティングビリーフを特定して、克服する方法を学び、勇気をもってチャレンジしましょう。

傷つくことを恐れて「自分は力不足だ」や「永遠に充分なスキルを得られない」などと自分に言い聞かせたくなるかもしれません。しかし最終的にこのような思考は自分自身やチームの能力を引き出すうえで足かせとなります。

そこで大事なことは、リミッティングビリーフを認め、自分自身に対する考えを新たな視点で見直すことです。また、チームにも同じアプローチを求めることで、あなたのチーム管理スキルの向上にもつながります。

職場でリミッティングビリーフを克服する方法

リミッティングビリーフに気づくことができれば、この考えを即座に直すうえで有効ですが、本当の意味でリミッティングビリーフに打ち勝つ方法を会得するには時間がかかり、また練習が必要です。そこで職場でこのような恐怖心に打ち勝ち、チームにも同じ姿勢で臨んでもらうため、いくつかヒントを用意しました。

以下の 4 つの手法から一つを選んで、または複数を組み合わせて、職場でのリミッティングビリーフの外し方を実践し、克服していきましょう。

1. リミッティングビリーフを特定し、書き出す

リミッティングビリーフ克服の第一段階は特定です。このような思考は多くの場合実際に言葉として発せられるのではなく、頭の中で考えとして姿を現します。考えを紙に書き出すことで、それが事実なのか、あるいは思い込みなのかを判断し、いかに誤っているかを見分けやすくなります。

考えを日記に綴ると、考えに起因するストレスを軽減できます。またこの考えが今後 10 分間の仕事と関係があるのかどうか自問自答する手もあります。関係がないのなら日記を閉じて、ネガティブな思考は紙の上に留めておきましょう。

この習慣は個人で行うものですが、チームにも毎朝の習慣として同じ取り組みをすすめてみるとよいでしょう。一週間に一度、自分のリミッティングビリーフを同僚に話すミーティングを開くこともできます。この習慣をとおしてチームのメンバーは信頼を築く機会を得られます。ただし、強制はしないでください。模範を示すためミーティングには自ら率先して参加するのがよいでしょう。

2. 正しいかどうかを判断する

考えを紙に書き出しても克服できないなら、その考えが正しいか誤っているかを分析するアプローチをおすすめします。

リミッティングビリーフの根源を探ることで、こういった考えの本質が見えやすくなります。ネガティブな思考が現れたら、時間を割いてその思考を分析してみましょう。単なる思い込みかどうか、その考えを裏づける具体的な証拠があるかどうかを見極めてください。考えが未知の恐怖に起因しているのか、または過去の経験に基づいているものなのかを自分自身に問いかけましょう。

完璧主義があると、生産性が下がり、思い通りに物事が運ばなかったときに匙を投げだしたくなります。この問題を解決する方法としてチームメンバーにフィードバックを求める手が考えられます。リミッティングビリーフが正しいかどうか確信が持てないなら、訊いてみましょう。こうすることで自分の見解とは異なる客観的な意見を得られ、思い込みと事実を区別しやすくなるのです。

3. ポジティブアファメーションを利用する

ポジティブアファメーションを利用してリミッティングビリーフを克服する方法も有効です。ポジティブアファメーションとは前向きな言葉を何度も自分に言い聞かせて自信を築く手法です。

ポジティブアファメーションを利用し、リミッティングビリーフを、自信につながるポジティブな考えに変えましょう。たとえば昇進するには力不足だと思い込んでいるなら、「自分は一生懸命仕事に励み、成功に値するはずだ」と断言してこの考えを改めるのです。ネガティブな考えをポジティブな考えに変えることで克服できるようになります。さまざまなやり方が考えられますが、自分自身または他人に向けてポジティブな発言を行うことで自信を高める効果が期待できます。

ネガティブな感情が生じたときにこの手法を用いることも、日常生活で習慣づけてリミッティングビリーフを事前に予防することも可能です。以下にネガティブな思い込みをリフレーミングして変えるポジティブアファメーションの例を挙げていきます。

  • 「このプロジェクトを担当するには私は力不足だ」を「すべての職務を成功させる力が私には備わっている」に言い換える。

  • 「自分自身に投資する時間がない」を「自分にとって大事なことに力を入れるために時間を調整できる」に言い換える。

難題の捉え方を変えることで、日常的なシチュエーションにおいてネガティブではなくポジティブな点を見るように脳を訓練できます。

4. あきらめない

リミッティングビリーフが浮かんでも決してあきらめないでください。この問題を抱えているのは一人ではありません。尊敬するリーダーや起業家でさえもリミッティングビリーフを経験しています。

リミッティングビリーフが生じても屈せずに踏ん張ることが大事です。数あるリーダーの資質のなかでも自分やチームメンバーを最後まで信じる姿勢はとても重要です。

負のサイクルに陥っているときは下を向きがちですが、一度歩みを止めてリミッティングビリーフを追い払いましょう。新鮮な空気を吸うだけで、よりポジティブな道に進めるときもあるものです。


日々の進捗や習慣づけには、タスク管理ツールを使って自分やチームのリミッティングビリーフ克服の取り組みを可視化すると、さらに効果が高まります。

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リミッティングビリーフを克服した事例

職場でリミッティングビリーフを克服した具体的な事例を知ることで、「自分にもできる」という感覚を持つことができます。ここでは、子どもの頃の過干渉やインナーチャイルドの傷、心理的トラウマなどが原因で生じたリミッティングビリーフを、実際にどのように乗り越えたのかを紹介します。それぞれの事例から、チーム管理スキルや自己肯定感、創造力を高めるヒントを見つけてみましょう。

事例 1: 過干渉な育ちからくる判断力の不安を克服したリーダー

あるチームリーダーは、子どもの頃に両親の過干渉な育て方の影響で「自分では決断できない」というリミッティングビリーフを抱えていました。職場でも意思決定のたびに不安が生じ、チームの士気にも影響が出ていました。

彼はまずリミッティングビリーフを書き出し、心理的トラウマや過去の経験に根ざす思考であることを確認しました。ポジティブアファメーションや小さな挑戦を繰り返すことで、自分の判断力を信じる力を取り戻し、チーム管理スキルの向上にもつなげました。

事例 2: インナーチャイルドの傷を理解して自己肯定感を取り戻した社員

ある社員は、子どもの頃の経験から「自分はチームで一番にはなれない」と感じるリミッティングビリーフを抱えていましたが、インナーチャイルドに向き合い、その思い込みがどのように職場での行動や自己評価に影響しているかを理解しました。

そこでこの社員は、日記に思考を書き出し、ポジティブアファメーションを日常的に実践した結果、徐々に自己肯定感が回復。結果としてチームの士気を高める行動ができるようになり、自信を持ってプロジェクトに取り組めるようになりました。

事例 3: 心理的トラウマを乗り越え、創造力を発揮したデザイナー

あるデザイナーは過去の失敗体験に起因する心理的トラウマから、「自分には斬新なアイデアを生み出す能力がない」というリミッティングビリーフを抱えていました。恐怖心のために新しい提案を避けていた結果、チームの創造性も抑制されていました。

彼はトラウマの原因を認識し、リミッティングビリーフを書き出す習慣をつけました。また、ポジティブアファメーションを用いて日々の小さな成功体験を積み重ねることで、恐怖心を克服。結果としてチーム管理スキルや創造力を発揮できるようになり、チーム全体の士気向上にも貢献しました。

まとめ: リミッティングビリーフを乗り越え、チームと自分を成長させる

誰もがリミッティングビリーフを経験します。一人で戦っているわけではなく、重要なのは完全に排除することよりも、それに気づき、克服してポジティブな物事に焦点を当てる努力をすることです。物の見方を少し変えるだけで、リミッティングビリーフを解除し、人生や職場での行動も変わります。

職場では、チームメンバー一人ひとりが自分の力を信じ、自信とポテンシャルを発揮できるようにサポートすることが大切です。心理的トラウマや過去の経験に起因するネガティブな思考に対しても、日々のコミュニケーションやポジティブアファメーションを通じて、前向きな職場環境を作れます。

チームコミュニケーションソフトウェアを活用すれば、タスク管理を通じてチームにつながりが生まれ、メンバー同士で自信を築き合うことが可能です。リミッティングビリーフを理解し、克服する取り組みは、個人の成長だけでなく、チーム管理スキルの向上にも直結します。

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